オタク同士で結婚したら案の定めっちゃ良い
25歳を過ぎたころ、親に言われた言葉がある。
「30過ぎたらお見合いするからね」
一人暮らしを満喫してるオタクにとっては、生死を分ける一大事のような言葉だった。
壁一面に貼ったアニメポスターでは水着姿の男子たちが半裸で水と戯れてるし、尋常じゃない量のマンガが押し込められた本棚が、異様な圧を放つ部屋。
オタクを隠しながら学生時代を過ごした反動が、結晶になったようなこの部屋が、当時の私の心の拠り所だった。
私がオタクなのを隠してる両親が連れてくるお見合い相手って、つまり結婚後の人生はオタク隠して生きていかないとダメなんじゃない?
やばない?無理やん?
(何としても自力でオタクの結婚相手探さないと……!!!!!!!!)
25歳で一からオタク友達増やして、彼氏作って、付き合ったり別れたりして、そのうち結婚するプランは、人見知りのコミュ障だから本当に望み薄。
彼氏?生まれてこのかたいないよ!!
追い詰められた私には、婚活という手段が一番手近に感じられた。
(開き直って恋愛経験無いっていうのを売りにすれば良いよ)
(25歳から婚活するって気が早いし、今の内にスタートダッシュ切ったら行けるっショ)
今思い返すと、安直で無策でどうしようもない動機で、25歳で婚活始めました。
Yahoo!お見合いはマンガ読むインドア派ってプロフィールにしたら、同族の方からの連絡は増えた。
一年くらい友達以上恋人未満な人と遊んで、疲れて辞めた。
オタク婚活パーティは回転寿司タイムがせわしなさすぎて、オタクどうこうより、男女ともに顔がよいにわかオタクの独壇場だった。
延々とオタク話のローテしてたら記憶も薄れるから、オタク趣味以外で何を印象に残せるかを考えて話すようにしたら、アプローチ増えた気がする。
聞き上手に徹したり、服装とか化粧変えたり、試行錯誤してみると全然結果が変わってきた。
試行錯誤の結果、彼氏もできたけど、3ヶ月で別れる。
成立したきっかけはやはり、お寺巡りというオタク関係ない分野での意気投合だった。
別れた原因もお寺巡りだった。
あと、コーヒー牛乳ばっか飲むから、口臭が甘くて臭くてしんどかった。
臭いって直接言えない繊細な人柄で辛かった。
別れて一年くらいは疲労のため婚活休憩。
婚活再開の際も、また元彼に会うと嫌だからオタク婚活パーティは封印。
ネットオタク婚活に切り替える。
そこで今の夫と会う。
オタク趣味を受け入れ合えるのはもちろん、
お金の使い方について価値観が似ていたり、
オタク以外で好きなものの波長も近くて良い。
録り貯めたアニメを一緒に土日に消化するのが良い。
本屋で買いたいマンガをプレゼンしあうのも良い。
新しい家電を2人で検討するのも良い。
洗い物しながらお願いシンデレラ歌ってたら、横から参戦してくるのも良い。
つまり今までのオタク生活と変わるところがほとんどない。
一緒に楽しんでくれる人が夫でとても嬉しい。
洗濯物回す時間が変わったり、晩ご飯のメニューが酒のアテ寄りに変わったり、色々変わっていく所もある。
義父さん義母さん始め、夫の友人方とのお付き合いも増えるし、気を遣うことも多々ある。
結婚に伴う転居のため、大学卒業以来勤めてた会社も辞めることになった。
そういう、前の私なら嫌だと思ったような事も、今は苦痛にならない。
多分これから、子供が産まれたり、家を買ったり、もっと色々なことで生活は変わってゆくだろうけど。
多分この人と一緒に「デュフフフ~」と笑いあってられるなら大丈夫。
だって私がオタクなままで居れるから。
これからも、水着の男子たちの劇場版Blu-ray買っても、
プロデュースしてるアイドルのアニメ円盤買っても大丈夫。
もちろん私の貯金から費用は出す。
夫氏……神かよ……って頻繁に呟いてるけど、ほんま神か何かだと思う。